【なぜ、正しいことをし続ける?貧困脱出のカギはアメフト】映画:「UNDEFETED」(2011)

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映画の紹介

「アンディフィーテッド 栄光の勝利」(原題:Undefeated)は2011年にアメリカで公開されたテネシー州メンフィスにあるマナサス高校のアメフト部に密着したドキュメンタリー映画第84回アカデミー賞最優秀長編ドキュメンタリー映画賞受賞。6年間無償でコーチを務めているビル・コートニーが「マナサス・タイガース」の立て直しと選手たちと真剣に向き合う姿が描かれている。青春ドキュメンタリー映画。

 

 

 

 

 

 

ストーリー

テネシー州メンフィスにあるマナサス高校は黒人学生が通う学校。歴史ある高校だがアメフト部の成績は創部以来、輝かしい功績を残したことは一度もなかった。ましてやプレーオフに進出するなんて夢のまた夢のはなし。

 

この地域は格差社会が甚だしく、学校に通う生徒たちの生活環境も決していいわけではない。映画の中で元NFL選手がゲストとして生徒に質問するシーンがある。「正直に手を挙げてくれ。この中で家族や親せきの誰かが刑務所にいる者は?」そう尋ねると手を挙げたのは、選手全員。そんな環境で暮らしいる彼らに対して無償でコーチを務めているビル・コートニーは生徒たちと真剣に向き合いながら、「チームの為に頑張る意味」「人間としての価値」「正しいことをし続けること」を選手たちに教えていく。

 

それはこの貧困地域から彼らが抜け出すきっかけをアメフト通して学ばせようとしているようだ。アメフト部の連戦連敗の記録を塗り替える練習が始まるが、少年院から戻ってきた生徒チェイヴィスが問題を起こす。真面目に学業とアメフトに取り組んでいるマネーだがシーズン終盤には試合に出れずに悩む。アメフトでは成績を出し、大学スカウトの目に留まったO.C.ブラウンだが勉強成績が悪く進学できない可能性も。それぞれの選手が壁にぶつかりながら、それでも皆と一緒にアメフトを頑張る姿はアメリカの格差社会と戦っている姿に見える。

 

 

 

ビルが選手たちによく伝える言葉がある。

 

「アメフトが人間性を作るんじゃない、アメフトが人間性を露呈させるのだ」

 

「CHARACTER!!!」

 

「勝利は誰でも受け入れられる、問題は失敗を受け入れられるかだ」

 

彼の哲学を選手たちに毎試合伝えていくのだがなかなかうまくいかない。

しかし失敗と成功を繰り返しながらチームは連戦連敗の記録を塗り替えていく。

 

 

 

 

 

アメリカ社会の現実

ドキュメンタリー映画だからこそ見えてくる部分もある。アメリカは日本よりも厳しい学歴社会、そして格差が激しい社会だ。それは高校生も例外ではない。元アメフト選手が生徒に質問したように両親の片方でも大学を卒業した者はほんの一握り、しかし犯罪に手を染めやすい環境がはびこっているのは彼らの家族・親戚が証明している。そんな環境から脱出する手段は進学するしかないのだ。

 

アメフトの練習に来なくなれば勉強もしなくなる、ビルや仲間たちも面倒をみることはなくなり「規律」「協調性」「人間性」を学ぶ機会がなくなるだけでなく、空いた時間を犯罪に使ってしまう。そうならないようにビルは精一杯、学校内だけではなく私生活にも関わって理解しようとする。

 

O.C.ブラウンはアメフトでこそその個性を発揮できるが勉強成績が良くなく、スカウトが来ても大学進学できない可能性が非常に高い。そんな彼に対してビルは知人の家庭教師を紹介して週に何日か住み込みで勉強させるように取り繕った。どうにかして有望選手は進学できるように奔走する。

 

しかし、大学には多額のお金が必要だ。金銭面の問題でそれが叶わない者もいる。そんな彼らがやることは、アメフトで成績を残しスカウトをもらう、正しいことをし続けることだ。

 

 

 

人間が正しいことをするのは理由がある

なぜ正しいことをしなければならないのか。そこには理由がある。

この映画は分かりやすくこれを教えてくれる。貧困地域でアメフトをしている学生だけではなく、全世界の誰にでも当てはまることだ。

 

優秀な選手、マネーはビルからの評価こそ高いが、チームに戻ってきたチェイヴィスと喧嘩をしたりと問題に関わってしまうこともある。さらにシーズン終盤には試合中にひざのケガをしてしまい、ドクターストップによってもう試合に出れない状況だった。彼は今まで真面目に努力していた選手でもあってビルも彼が試合に出れないのは残念だった。練習にも参加できない彼は次第に学校にも来なくなり、学校をやめるという選択も彼の頭にはあった。

 

そのころ問題児だったチェイヴィスはチームの為に動くことを意識し始めて、試合でも十分な活躍を見せていた。チームで彼が表彰される時があった。それほど彼の更生ぶりはすごかった。表彰されたチェイヴィスはスピーチでいった。「今まではチームにたくさん迷惑をかけてきた。本当に申し訳なかったが、そんな俺でもチームの為になろうと変わった。変わることができた。しかし、本当にすごいのはみんなのお手本になっているマネーだ。彼がいたからこそ僕は彼から学ぶことができた。」悪童だった彼、ミーティングの際にマネー本人と喧嘩した彼からマネーに対して感謝を述べることは珍しかった。マネーがその時、何を感じただろう。

 

学校をやめる考えがあったマネーにビルは熱心にに言った「学校には来い。いいな!」マネーはしぶしぶ頷き、それに従った。彼の試合に出たい想いはまだ篤く心の中に残っていた。医者と相談し。リハビリを続け、ついに練習にも参加し、試合にも出場することができたのだ。

 

 

しかし、彼が正しいことをしつづけてきた結果はこれだけでは終わらなかった。

 

 

練習の最中、ビルに連絡が入った。その内容を聞いたビルは信じられずに電話の相手と何回も確認した。

そしてマネーを練習から呼び出して、彼にその内容を伝えた。

 

「今まで何度も何度も、正しい行いをしろ、と伝えてきただろ? それは誰かがきっと見ていてくれるからなんだ。今、知人から連絡が入った。 マネー、君の頑張りぶりを聞いた大富豪が、君の顔も知らないが君の話を聞いて真剣に考えた結果、君の大学進学にかかる費用のすべてを負担してくれるそうだ。

 

それを聞いたマネーは目に涙を浮かべ泣いた。

 

ビルは一言

「私も泣きそうだ。さぁ、練習に戻ろう」

 

 

 

 

メッセージ

「アイシールド21」という現在「Dr.STONE」原作者の稲垣理一郎先生と「ONE PUNCH MAN」漫画担当の村田雄介先生のコラボでできた日本初のアメリカンフットボール漫画の影響でアメフト好きになった私は「Longest yard」「Remember The Titans」など有名アメフト映画も大好きだ。

 

アメフト映画だから面白そうと思ってアマゾンプライムでたまたま見つけたこの映画を見ていたら、いつの間にか号泣していた。

 

アメリカの格差社会と貧困の実態をドキュメンタリー映画だからこそ、ありのままに映し出している。

6年間も無償でコーチを務めながら自身が起こした事業をこのチームに投資し、家族との時間や子供たちとの時間を過ごせずにこのチームの為に全力をすすぐ姿。

相手チームとの試合前日には地元警察が選手たちに騒動を起こさないよう注意喚起し、当日には大勢の警察が出動、試合終了と共にフィールドに入って両チームの選手を牽制させるほどの治安の悪さ。

コーチだけでなく選手も不安をかかえながら毎日練習をこなす不安定な生活。

そんな彼らは環境を自ら変えていく力をアメフトを通して学んでいく姿は人生を生きる姿そのものだと思う。

 

 

 

何よりも正しいことをしつづけて頑張ってきた彼が報われる展開は映画そのものだ。

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